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子育てと子ども支援
フィンランドでのこころの病気を抱える親の子育てと子ども・家族への支援

こころの病気を抱えている親と子どもをサポートするためのハンドブック

フィンランドで2001年からスタートした〈子どもと家族のための効果的なプログラム(The Effective Child & Family Programme)〉の中で、児童精神科医のSolantaus(ソランタウス)先生が開発した、こころの病気を抱えている親と子どもをサポートするためのハンドブックの日本語版を2冊作成しました。青い表紙は親が読む用で、赤の表紙は子どもが読む用です。フィンランドをはじめ複数の国で翻訳され、医療や子育て支援、教育機関などで用いられています。

この2冊のハンドブックの日本における活用可能性について、医療や子育て支援などに関わっている方々に、アンケート調査を行ったところ、回答して下さった8割の方がこの2冊のハンドブックは必要と回答し、活用法についても多様なご意見をいただきました。2016年7月6日東京大学出版会から出版されました。

フィンランドの〈子どもと家族のための効果的な支援プログラム〉の詳細はこちら

子どもにどうしてあげたらいい?〈こころの病気を抱えるお母さん、お父さん〉のハンドブックお母さん、お父さんどうしたのかな?〈こころの病気を抱える親をもつ子ども〉のハンドブック

子どもにどうしてあげればいい?
〈こころの病気を抱える親〉のハンドブック

趣旨・特色

  • こころの病気を抱えている親は、子どものことで悩んでいる場合が少なくありません。このハンドブックの目的は、親が子どもをサポートする方法を見つけられるように手助けすることです。
  • 子育てと子どもについて、親によくある心配ごとや疑問が取り上げられ、子どもにどう接したらいいか、子どものために何ができるかなどを、親の気持ちを聞きながら、語りかけるように書かれています。
  • こころの病気を抱えながらの子育てが大変なことはよくわかります。では子どもにどうしてあげたらいいのか―親の考えや気持ちを尊重し、親と連れ立って考える。これは著者であるソランタウス先生の臨床のあり方が再現されているかのような内容が特色です。
  • こころの病気を抱えている親にとって、子どもや子育ての悩みが自身の病気と関係することも少なくありません。誰に話してよいかわからなかったり、打ち明けられず一人で悩みを抱え込んでしまうこともあります。このハンドブックはそういった気持ちをくみとって書かれているので、気負わずに読むことができます。ですから、子どもの顔を思い浮かべながら、「こんなことでも喜んでくれるんだ」「こういうことは大事なんだ」と気が付いたらあれこれ考えている、そんな時間を過ごすことができるハンドブックです。

お母さん、お父さんどうしたのかな?
〈こころの病気を抱える親をもつ子ども〉のハンドブック

趣旨・特色

  • 子どもは心配や不安を感じていても、すべて一人で抱えてしまいがちです。お母さんやお父さんがこころの病気になったとき、小学生から高校生ほどの子どもによくある疑問を取り上げ、わかりやすくこたえようとしています。親が子どもと会話を始められるように、親に向けても書かれています。
  • このハンドブックは、“子どものさまざまな気持ち”を大切にしています。「お母さんがかわいそう」「怖いよ」「とても怒っているよ」「恥ずかしいよ」「逃げ出したいよ」といった子どもの気持ちを受け止めながら、「そういう気持ちはわかるよ」「自分を責めなくていいんだよ」「それはよくあることだよ」とその気持ちを受け止めながら語りかけるように書かれています。
  • さらにこのハンドブックの大きな特色は、自分の夢や大切なものをあきらめず持ちつづけるようにと、子どもに伝えていることです。なかには、自分の未来や夢を思い描くことや、自分の人生を自らのものとして歩くことが難しくなる子どもがいるからです。児童精神科医としてのソランタウス先生の豊富な経験と、子どもの幸福を切に願う気持ちがこのハンドブックに込められています。
  • こころが苦しくなったとき、このハンドブックを読んでみてください。「つらかったね、ひとりじゃないよ」と、まるでソランタウス先生がそばで見守ってくれているようで、その温かな気持ちにふれることができるでしょう。

 

ソランタウス先生からのメッセージ
(『子どもにどうしてあげればいい?』および『お母さん、お父さんどうしたのかな?』の「日本のみなさんへ」から一部抜粋)

ソランタウス先生

『子どもにどうしてあげればいい?――〈こころの病気を抱える親〉のハンドブック』と『お母さん、お父さんどうしたのかな?――〈こころの病気を抱える親をもつ子ども〉のハンドブック』の2つの本は、親がこころの病気を抱える家族のなかの親子に向けて作られました。こころの病気はその人や家族の人生に影を落とすものではないとわかり、また家族に何ができるかを知るうえで、これらの本が役立つことを願っています。周囲の人が理解と思いやりをもってサポートするならば、親のこころの病気は、子どもの発達の障壁になるようなものではありません。

上記の本はどちらも2つの構成要素(文とイラスト)からできています。アントニアが描く感性豊かなイラストは、親や家族が経験する世界を表現し、文は実際に親と家族に何が起きているかを理解させてくれます。いずれも、家族のみながお互いに理解し合い、さまざまな状況への対処を経て、家族の一体感を得ることを目標としています。ある一人の親がこう言いました。「家族はお互いに協力し始めました。私たちはチームとなったのです」。

家族ばかりでなく、保健・医療・福祉サービスに携わる専門家が、こころの病気を抱える親と家族をどのようにサポートするかを知るためのツールとしても、これらの本は書かれました。成人の精神科医療あるいはメンタルヘルスサービスの領域では、子育てと子どもへのサポートはまだまだ始まったばかりです。専門家は十分な知識がないので、どのように対応したらよいのかわからない、また実際になされていることに対して半信半疑である場合もままあります。したがって、これらの本は、親だけでなく専門家にとっても、子どもをサポートするための手助けとなります。親と親を支える人がこれらの本を一緒に読むこともあるでしょう。同様に子ども向けの本は、思春期および成人の精神科医療、学校保健におけるさまざまな場面でも使われています。

トゥッティ・ソランタウス先生から日本の読者へのメッセージ パート1

トゥッティ・ソランタウス先生から日本の読者へのメッセージ パート2

このハンドブックの活用方法

このハンドブックを、たくさん活用してください。下記はヒントや例です。

  • 〈子育て支援Let’s Talk! 子どものことを話そう〉の中で活用
  • 子育て支援機関、学校、病院・クリニック、薬局などにおいて自由に読めるようする
  • 子育て支援機関、児童相談所、病院・クリニックなどで、親や子どもとの面談に活用(例:ハンドブックに書かれているようなことを話すきっかけづくり、一緒に読む)
  • 家族間でハンドブックにあるようなことを話すきっかけづくり
  • 専門家の研修に活用(親と子どもの理解を深める、具体的な支援方法を知る)
  • ハンドブックにあるパラパラまんがやイラストの活用(例:親や子どもとのグループミーティング時、話し合いのテーマに関連したイラストをコピーしミーティングの部屋に貼り、これを見ながら話し合いを始めたり、促進したりする)